見応えのある映画でした。
先ず、ストーリーとは全く関係ない伏線で、「国家権力上層の大きな組織は、国家機密を盾にして、レイプ犯のアリバイですら、事実を捻じ曲げるのでは?」という疑問をテーマあがりました。制作者には糾弾したい組織があったのでしょうか。
上のような一見正義をテーマにしていながら、娘を殺された母親をやり過ぎの演出で悪者に見せたりもします。ハリウッド作品のショーシャンクやレインメーカー等に見受けられる仕組みで、観ている側が、いつの間にか、感情移入して、犯罪や殺意を肯定してしまうような演出です。この映画の場合は、被害者遺族に反感を持たせるという逆の仕組みです。
ハリウッド作品には、意図的に観客の倫理観を壊そうとしている演出が多いのではないでしょうか。このスリービルボードに関しては、最後に殺人をグレーにするけど、無意識に僕の倫理観を変えられている気もしなくはないです。
物語は、娘を殺された母親が、道路沿いのデカい看板に「私の娘は、レイプされ、焼き殺された」、「犯人は捕まらない」、「警察は何やってんだ?」と3つの広告を出し、関わる人たちの心の変化を描いています。支援する人もいますが、反感を持つ住民も多いなか、この母親は、1人で戦います。
今でもアメリカ南部は肌の色で差別する人は多いのかな。ストーリーと関係ないところで不可解な演出や登場人物の背景が多かったように感じました。
母親の別れた夫の19才のカノジヨ、味方か敵か微妙な広告代理店、警察署長と友達というだけで母親の歯を麻酔なしで抜こうとする歯医者、正義感強いけど国家機密に負ける署長、中途半端に顔を出す犯人らしき男、亀など。テーマを重視するなら、登場人物を少しスッキリさせても良かったかかもしれませんが、様々な人の心の変化を描きたかったとしたら、限られた時間のなかでまとまっていました。だからこそ見応えがあったのかも。
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