資本主義が労働力を必要としなくなる時、民主主義が機能しないと悲惨なことになる。
なぜなら、それは、エリートにとって民衆が不要となるから。
例えば、不公平前提のボードゲームを使った心理実験では、お金持ちになったプレイヤーが、貧乏なプレイヤーに対し例外なく横柄な態度をとる結果が出ています。机を叩いたり、サイコロを投げたり所作が乱暴で威嚇的になるのです。現実は何も変わらないにも関わらず。
この映画は同タイトルの書籍があります。あまりに長く読むのが面倒と世間の声を聞いた著者のトマ・ピケティさんが、それなら映画を作ろうと考え制作されたらしいです。
そこまで知って欲しい内容とも受け取れます。
物語は資本主義の振り返りから始まります。
資本主義の歴史
18世紀
努力ではどうにもならない。良くて召し使い。上流社会も特権を守るための政略結婚が多くお金とお金の結婚だった。
19世紀
産業革命により労働力が貴重となるが、格差社会で仕事をやめるのは犯罪とした。
その後、イギリスとフランスは領土を広げ世界を支配し労働力を得たが、消費が間に合わず、労働者がファッションに興味を持てる程度に賃金を上げ格差を少し緩和した。
20世紀
馬車から車、機関車、電車、飛行機と変化した時代。トリクルダウンで世界は豊かになったが、財産を持つ者に権力が集中するのは変わらない。権力は、常に格差を利用し消費させるために民衆を豊かにしてやっているスタンスである。
※トリクルダウン:上流階級に余るほどの豊かさが民衆を豊かにするという理論。証明されていないため仮説です。
21世紀から現在、少し未来
資本主義と民主主義などそれ以上の完璧なシステムがあっても必ず壊れます。
なぜなら、一部の権力者或いはテクノロジーによる新たな金持ちが抜け穴を探して居続けようとし、さらに、それすらも民族或いは国が壊し利を得ようとするからです。
近い未来、資本主義が労働力不要となる?
このように振り返ると、「この世界はエリートが利を得るために民衆を利用してきただけの世界」となります。
ということは、資本主義が、労働力や消費活動を必要としなくなると、その時のエリートたちにとって民衆は無価値な存在になります。冒頭の実験の通りであれば、民衆は乱暴な扱いを受けるでしょう。消費のみで生産がない者たちは人権すら否定される可能性もあります。
「資本主義の成熟が平等をもたらす」と説いたのはアメリカのグスネッツですが、反してピケティは「資本主義の成熟が労働力(民衆)を必要としなくなる」と説いています。ピケティの説は恐ろしいですね。どうやったらエリートになれるんだろ!?
映画館の中でメモをしながらでしたが超難しくて理解が正しいかは分かりません。
21世紀の資本(2017)
★★★★★
監督 ジャスティン・ペムバートン
原作 トマ・ピケティ
出演者 トマ・ピケティ
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