弟の葬儀に来た兄が遺影を見て「これ、弟じゃないんだけど?」から始まるネタバレ厳禁な「ある男」

Movie I Saw

 不慮の事故で夫を亡くす里枝。深い悲しみのなか葬儀が行われるが、夫の実家から兄が参列するも、遺影を見て、「これ、弟じゃないんだけど?」。

ネタバレ後も人間ドラマが深く、しっかり最後まで見応え確かです

 夫を亡くした悲しみはなくならないけど、エンディングに近づくにつれ純粋に生きていくことを願った夫が見えてきます。悲しいばかりの内容ではなく、誰もが不幸を願わないように、ただ静かな日々を手に入れたいだけなのに…。それだけを願っただけなのに…。過去は過去、親は親なのに…。
 登場人物の様々なバックグラウンドが交差して、自分で自分を複雑に解釈してしまう人の性が描かれています。

 登場人物の思いや生活が深く練られたしっかりとした脚本じゃないでしょうか。そのしっかりとした脚本をしっかりとした演者が味わい深くしています。言わずもがなですが、なかでも、柄本明さんの演技は凄いよねぇ。柄本明さんの演技だけでも見て欲しいです!

静かな日々と普通の幸せ

 婚後実家の文房具店で働く里枝。ただの生活がそこにあるが、次男を亡くしたことから、里枝にはただの生活が、暗く、重い。
 その文房具店に絵を描くのが趣味の男・谷口大祐が客として通うようになる。口数が少なく、物静かな谷口と理恵は徐々に魅かれ合う。やがて、二人は結婚し、娘を授かり、ささやかではあるが、幸せな日々を手に入れた。

 順調に思えたのもつかの間、谷口は、仕事中の不慮の事故で他界してしまう。

 そして、夫の葬儀で、谷口の兄が参列し、「弟じゃないんだけど?」となります。このナゾが知りたいだけでも楽しめます。

 しかし、これ、レビューは、どうやって書いたら良いのだろう?。色んな伏線も多く組み込まれていますが、すべて、「これ、弟じゃないんだけど?」に集約したものでネタバレになってしまう。これが、起点だし、要だし、これが中心に物語が展開するんだから仕方ないけど。

 見応え充分な作品なので超オススメです!

ある男(2022)
★★★★★ 4.5点
監督 石川慶
脚本 向井康介
原作 平野啓一郎
出演者 妻夫木聡 / 安藤サクラ / 窪田正孝 / 清野菜名 / 眞島秀和 / 小籔千豊 / 仲野太賀(太賀) / 真木よう子 / 柄本明 / 坂元愛登 / 山口美也子 / きたろう / カトウシンスケ / 河合優実 / でんでん

 配信サービスがまだなので原作本を紹介致します。

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 公式HP

日本外国特派員協会記者会見に、平野啓一郎、石川慶監督が登場! 映画化に至った経緯や、作品に込めた想いを熱く語る【イベントレポート】 | ニュース | 映画『ある男』公式サイト | 11.18 [FRI] ROADSHOW |
愛したはずの夫は、まったくの別人でした──/芥川賞作家・平野啓一郎 原作 「愛」と「過去」をめぐる、感動ヒューマンミステリー/日本屈指の俳優陣集結!珠玉のヒューマンミステリー、衝撃の幕開け!出演:妻夫木聡 安藤サクラ 窪田正孝

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